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INUYAMA / AICHI

犬山城

木曽川の断崖を背にし、南から郭を重ねる小さく鋭い城です。天守の古さは伝承だけでなく、年輪年代調査によって1585〜1590年に伐採された材が継続して使われたことまで分かっています。

現在見られる主な建物・遺構
1585–90年伐採材で築造
主な城主
織田信康・成瀬正成
城の立地と天守の構造
平山城・望楼型天守
石垣の上に立つ犬山城天守
Image: Hyppolyte de Saint-Rambert / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

HISTORY

築城から現在まで

犬山城は1537年に織田信康が築いたと伝わります。1584年の小牧・長久手合戦では池田恒興が攻略し、羽柴秀吉方の拠点となりました。木曽川と濃尾平野を見渡す立地が、軍事上の価値を支えます。

近年の年輪年代調査では、天守主要材が1585年から1590年に伐採され、建物が一連の工事で造られたことが示されました。後世に上階を増したという旧説を、実物資料から見直せる点が重要です。

1617年に成瀬正成が城主となり、成瀬家が明治まで受け継ぎました。最上階の廻縁からは木曽川、濃尾平野、小牧山を望めます。眺望はそのまま、情報を集める望楼の機能です。

CHRONOLOGY

  1. 織田信康が築城したと伝わる
  2. 小牧・長久手合戦で池田恒興が攻略
  3. 年輪年代調査が示す主要材の伐採時期
  4. 成瀬正成が城主となる
  5. 財団法人へ移管され保存体制が変わる

PEOPLE, OBJECTS & THE CASTLE

成瀬正成と、城主家に伝わった武具

肖像や武具、城に残る意匠から、城主と城の関わりを時代順に紹介します。

PORTRAIT / HISTORICAL IMAGE白林寺所蔵の成瀬正成肖像
白林寺所蔵の成瀬正成肖像Image: Unknown / Hakurinji / Wikimedia Commons / Public domain
ON SITE / STRUCTURAL DETAIL犬山城天守から望む木曽川と城下町
犬山城天守から望む木曽川と城下町Image: z tanuki / Wikimedia Commons / CC BY 3.0

成瀬正成は徳川家康・義直に仕え、1617年に犬山城を拝領しました。以後、成瀬家が幕末まで城主を務めます。白帝文庫の資料は、初代城主本人の所用品と、後世に成瀬家へ集まった伝来品を分けて見る必要があります。

1357年銘の短刀は、正成の犬山入城より約260年古い重要文化財です。価値の高い刀ですが、正成所用や家康拝領とする一次情報は確認されていません。

朱塗黒糸威具足

桃山時代。白帝文庫特別展目録で成瀬正成着用とされる具足。

銀箔押白糸菱綴二枚胴具足

成瀬家伝来。公開資料では特定城主の所用とはされていません。

短刀 左安吉作

正平12年(1357)の銘を持つ重要文化財。城主の刀と断定しません。

三つの資料から分かること

01

成瀬正成の時代から、城主家の歴史が始まる

成瀬正成は1617年に犬山城を拝領し、成瀬家は幕末まで城主を務めました。正成の肖像は、犬山城が長く一つの家に受け継がれた歴史の入口になります。

02

古い刀が、すべて犬山城で使われたわけではない

1357年銘の短刀は、正成の入城より約260年も前の作品です。城主家へ伝わった名品としての価値と、犬山城で実際に使われたかどうかは、別の問いとして残ります。

03

肖像は、後世が望んだ城主像も映す

肖像や合戦図は本人の姿を写した写真ではありません。衣装や姿勢を読むと、成瀬正成がどのような武将として記憶されたのかが見えてきます。

所蔵館・文化財の公式解説を見る

FORTIFICATION

城を守るために、石垣・堀・門をどう配置したか

木曽川の断崖

北側の急崖と川を背後の守りに利用します。

段郭

南側から本丸へ郭を段状に重ね、正面からの接近を絞ります。

付櫓と石落とし

天守入口の側面と石垣際を近距離で守る構成です。

望楼

最上階から川筋と平野を遠望し、移動を早く捉えられます。

FIELD ROUTE

初めてでも迷いにくい見学順

見どころを見落とさず、入口から出口まで歩きやすい順に紹介します。工事や入場規制がある日は、現地の案内に従ってください。

  1. 01

    城下町の本町通りから、旧大手道の勾配を上る

  2. 02

    城前広場で断崖側と城下側の高低差を確認

  3. 03

    本丸石垣と付櫓を見て、入口の守りを読む

  4. 04

    地下階で石垣と柱、太い梁の納まりを見る

  5. 05

    武者走りと破風の内部をたどる

  6. 06

    最上階の廻縁で木曽川・濃尾平野・小牧山の方向を確かめる

FOOD, TEA & ONSEN

城下町で親しまれてきた田楽と五平餅

犬山では、城主の好物という物語より、町歩きの途中で出会える地域の味を紹介します。

町家が続く犬山城下町
Image: そらみみ / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

城下町の食文化

田楽・五平餅

犬山市観光協会は、犬山の郷土料理として田楽や五平餅を案内しています。いずれも特定の城主が愛したと確認できる料理ではないため、天守見学後に城下町で味わう地域の食として位置づけます。

犬山市観光協会「犬山で体験」で確かめる

VISIT DETAILS

見学料金・開館時間・駐車場

大人一人の通常料金と、見学できる時間、休館日、車で訪れる場合の駐車場をまとめました。年齢区分、団体料金、特別公開は公式案内でご確認ください。

入城・入館料
一般1,000円、小・中学生200円。城下町の対象施設とのセット券もあります。
開城・開館時間
9:00〜17:00、最終入場16:30。
休城・休館日
12月29日〜31日。
公営・指定駐車場
犬山城第1駐車場は普通車1時間300円、当日最大1,800円。特定日は1時間500円、最大3,000円です。第2駐車場も同額です。
駐車場から
第1駐車場から徒歩約5分、第2駐車場から徒歩約8分。名鉄犬山遊園駅から徒歩約15分です。
訪問前の注意
天守最上階の回廊は高欄が低く、階段も急です。強風・混雑時は係員の案内を優先してください。

確認日 2026.07.31。料金・開城時間・駐車条件は催事や工事により変わる場合があります。

DAY PLAN

犬山城を巡る時間と費用

滞在
城と城下町で3〜4時間。廻縁は天候により注意
交通
名鉄犬山遊園駅または犬山駅から徒歩。城下町を歩くなら犬山駅側
予算
入城・昼食・城下町散策で4,000〜7,500円ほど(宿泊を除く編集部目安)

CASTLE TOWN ROUTE

木曽川の天守から、織田有楽の茶室へ

犬山城の急な階段と望楼を体験したあとは、東側の有楽苑で国宝茶室・如庵へ。戦うための建築と、客を迎えるための建築を同じ日に見られます。

所要時間の目安 追加75〜120分

犬山の有楽苑に移築された国宝茶室如庵
Image: Tomio344456 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

WALKING ORDER

  1. 01

    犬山城天守から木曽川と城下町を見渡す

  2. 02

    城の東側にある有楽苑へ

  3. 03

    本町通りを南へ歩き、町家と祭りの町並みを見る

庭園・茶室

日本庭園 有楽苑

織田信長の弟・織田有楽斎が建てた国宝茶室・如庵を中心とする庭園です。内部特別見学は実施日と予約状況が限られるため、公式案内を先に確認します。

公式情報を見る

城下町

本町通りと城下町

犬山城から南へ延びる道沿いに町家が残ります。犬山祭の車山や商家の文化を知る施設もあり、天守だけでは見えない城下の生活へ視点を移せます。

公式情報を見る

所要時間は移動と通常の見学を含む編集部の目安です。開館日、料金、展示内容は各施設の公式サイトでご確認ください。

AROUND THE CASTLE

城下町で食べる・泊まる・持ち帰る

泊まる

灯屋 迎帆楼

木曽川と犬山城を間近に望める宿です。宿泊プランと利用条件は公式サイトで確認できます。

公式情報を見る

歩く

犬山観光情報

城下町の見どころや祭り、食事処の最新情報を公式観光サイトで確認できます。

公式情報を見る

学ぶ

犬山城公式

天守の年代調査や建物の特徴を、訪問前に公式解説で確かめられます。

公式情報を見る

BOOKS & DOCUMENTS

犬山城の建築年代と成瀬家を知る本

天守の年代調査と、城主を務めた成瀬家の歴史・伝来品を扱う本を紹介します。

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主な出典

本文は各城の公式解説、自治体・文化財情報をもとに編集部が要約しました。伝承は確定事項と分けて記載しています。

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