朱塗黒糸威具足
桃山時代。白帝文庫特別展目録で成瀬正成着用とされる具足。
INUYAMA / AICHI
木曽川の断崖を背にし、南から郭を重ねる小さく鋭い城です。天守の古さは伝承だけでなく、年輪年代調査によって1585〜1590年に伐採された材が継続して使われたことまで分かっています。

HISTORY
犬山城は1537年に織田信康が築いたと伝わります。1584年の小牧・長久手合戦では池田恒興が攻略し、羽柴秀吉方の拠点となりました。木曽川と濃尾平野を見渡す立地が、軍事上の価値を支えます。
近年の年輪年代調査では、天守主要材が1585年から1590年に伐採され、建物が一連の工事で造られたことが示されました。後世に上階を増したという旧説を、実物資料から見直せる点が重要です。
1617年に成瀬正成が城主となり、成瀬家が明治まで受け継ぎました。最上階の廻縁からは木曽川、濃尾平野、小牧山を望めます。眺望はそのまま、情報を集める望楼の機能です。
CHRONOLOGY
PEOPLE, OBJECTS & THE CASTLE
肖像や武具、城に残る意匠から、城主と城の関わりを時代順に紹介します。


成瀬正成は徳川家康・義直に仕え、1617年に犬山城を拝領しました。以後、成瀬家が幕末まで城主を務めます。白帝文庫の資料は、初代城主本人の所用品と、後世に成瀬家へ集まった伝来品を分けて見る必要があります。
1357年銘の短刀は、正成の犬山入城より約260年古い重要文化財です。価値の高い刀ですが、正成所用や家康拝領とする一次情報は確認されていません。
桃山時代。白帝文庫特別展目録で成瀬正成着用とされる具足。
成瀬家伝来。公開資料では特定城主の所用とはされていません。
正平12年(1357)の銘を持つ重要文化財。城主の刀と断定しません。
成瀬正成は1617年に犬山城を拝領し、成瀬家は幕末まで城主を務めました。正成の肖像は、犬山城が長く一つの家に受け継がれた歴史の入口になります。
1357年銘の短刀は、正成の入城より約260年も前の作品です。城主家へ伝わった名品としての価値と、犬山城で実際に使われたかどうかは、別の問いとして残ります。
肖像や合戦図は本人の姿を写した写真ではありません。衣装や姿勢を読むと、成瀬正成がどのような武将として記憶されたのかが見えてきます。
FORTIFICATION
北側の急崖と川を背後の守りに利用します。
南側から本丸へ郭を段状に重ね、正面からの接近を絞ります。
天守入口の側面と石垣際を近距離で守る構成です。
最上階から川筋と平野を遠望し、移動を早く捉えられます。
FIELD ROUTE
見どころを見落とさず、入口から出口まで歩きやすい順に紹介します。工事や入場規制がある日は、現地の案内に従ってください。
城下町の本町通りから、旧大手道の勾配を上る
城前広場で断崖側と城下側の高低差を確認
本丸石垣と付櫓を見て、入口の守りを読む
地下階で石垣と柱、太い梁の納まりを見る
武者走りと破風の内部をたどる
最上階の廻縁で木曽川・濃尾平野・小牧山の方向を確かめる
FOOD, TEA & ONSEN
犬山では、城主の好物という物語より、町歩きの途中で出会える地域の味を紹介します。

城下町の食文化
犬山市観光協会は、犬山の郷土料理として田楽や五平餅を案内しています。いずれも特定の城主が愛したと確認できる料理ではないため、天守見学後に城下町で味わう地域の食として位置づけます。
犬山市観光協会「犬山で体験」で確かめるVISIT DETAILS
大人一人の通常料金と、見学できる時間、休館日、車で訪れる場合の駐車場をまとめました。年齢区分、団体料金、特別公開は公式案内でご確認ください。
確認日 2026.07.31。料金・開城時間・駐車条件は催事や工事により変わる場合があります。
DAY PLAN
CASTLE TOWN ROUTE
犬山城の急な階段と望楼を体験したあとは、東側の有楽苑で国宝茶室・如庵へ。戦うための建築と、客を迎えるための建築を同じ日に見られます。
所要時間の目安 追加75〜120分

WALKING ORDER
犬山城天守から木曽川と城下町を見渡す
城の東側にある有楽苑へ
本町通りを南へ歩き、町家と祭りの町並みを見る
庭園・茶室
織田信長の弟・織田有楽斎が建てた国宝茶室・如庵を中心とする庭園です。内部特別見学は実施日と予約状況が限られるため、公式案内を先に確認します。
公式情報を見る城下町
犬山城から南へ延びる道沿いに町家が残ります。犬山祭の車山や商家の文化を知る施設もあり、天守だけでは見えない城下の生活へ視点を移せます。
公式情報を見る所要時間は移動と通常の見学を含む編集部の目安です。開館日、料金、展示内容は各施設の公式サイトでご確認ください。
AROUND THE CASTLE
BOOKS & DOCUMENTS
天守の年代調査と、城主を務めた成瀬家の歴史・伝来品を扱う本を紹介します。
本文は各城の公式解説、自治体・文化財情報をもとに編集部が要約しました。伝承は確定事項と分けて記載しています。