圧切長谷部
南北朝時代の刀。織田信長から官兵衛へ贈られた黒田家伝来の国宝。姫路城の備品ではありません。
HIMEJI / HYOGO
白い外観だけでなく、門をくぐるたびに進行方向を変えさせる縄張りと、四つの天守が互いを守る構成まで読むと、姫路城の見え方が変わります。豊臣政権期の三層天守を、池田輝政が慶長期の大城郭へ改め、本多忠政が西の丸を整えた時間の重なりを歩きます。

HISTORY
姫路城の公式年表では、1333年に赤松則村が砦を築き、1346年に赤松貞範が城を構えたと伝えます。1580年、黒田官兵衛は羽柴秀吉に城を譲り、翌年には三層の天守が完成しました。ここは現在の大天守が建つ前の、豊臣政権による西国支配の拠点です。
関ヶ原合戦後に入城した池田輝政は、1601年から大改修を始めます。大天守・東小天守・西小天守・乾小天守を渡櫓でつなぐ連立式天守は1609年に完成。外観五重、内部は地上六階・地下1階で、見る方向により屋根と破風の重なりが変わります。
1617年に入った本多忠政は、西の丸と三の丸を整備しました。池田期の本丸防御と、本多期の西の丸を分けて見ると、同じ城内に二つの整備思想が共存していることが分かります。
CHRONOLOGY
PEOPLE, OBJECTS & THE CASTLE
肖像や武具、城に残る意匠から、城主と城の関わりを時代順に紹介します。


黒田孝高(官兵衛)は1580年に姫路城を羽柴秀吉へ譲りました。現在の大天守群を築いたのは、関ヶ原後に入城した池田輝政です。官兵衛の時代の城と、輝政が築いた現在の大天守群は同じ姿ではありません。この違いを知ることが、姫路城の歴史を読み解く入口です。
武具は『誰の所用と伝わるか』だけでなく、制作年代と伝来を見ます。池田輝政所用と伝わる具足には、様式から孫の光政期に先祖顕彰のため作られた可能性も指摘されています。
南北朝時代の刀。織田信長から官兵衛へ贈られた黒田家伝来の国宝。姫路城の備品ではありません。
桃山時代。官兵衛が家臣・栗山利安へ譲ったと伝わる兜。
城内に残る実物資料。桐・立葵など歴代城主の紋瓦と場所ごとに見比べます。
黒田官兵衛が1580年に城を羽柴秀吉へ譲った後、現在の大天守群は池田輝政の時代に築かれました。白い天守を眺めるとき、そこには関ヶ原後の新しい政治秩序が形になっています。
輝政所用と伝わる具足にも、後代の子孫が藩祖をたたえるために制作した可能性があります。伝承と造形の年代を重ねると、武将が死後どのように記憶されたかまで見えてきます。
城内の瓦には、時代ごとの城主に結びつく紋が残ります。天守だけを見上げるのではなく足元や屋根へ目を向けると、改修を重ねた城の長い時間をたどれます。
FORTIFICATION
内郭へ近づくほど道が折れ、門と石垣から側面を見られる構成です。
大天守と三つの小天守を渡櫓で結び、死角を減らしています。
上へ行くほど反りが強くなる石垣。見た目の美しさと登りにくさを両立します。
菱の門を入った先で進路を絞り、天守へ直進させない要所です。
FIELD ROUTE
見どころを見落とさず、入口から出口まで歩きやすい順に紹介します。工事や入場規制がある日は、現地の案内に従ってください。
大手門から三の丸へ。大天守を正面に見て全体像をつかむ
菱の門をくぐり、三国堀で道が分かれる理由を見る
西の丸と百間廊下へ。本多家の整備範囲を先に歩く
い・ろ・はの門を追い、天守へ直進できない折れを確かめる
水の門を経て大天守へ。小天守と渡櫓の射線を窓から見る
備前丸から連立式天守を見上げ、るの門・二の丸を通って下る
FOOD, TEA & ONSEN
城主本人の好物と断定せず、藩と城下町のあいだで形づくられた食文化をたどります。

藩の贈答文化
姫路市の解説では、酒井家への輿入れに合わせて考案され、藩の御用菓子になったとされます。武将の好物という話ではなく、姫路藩の慶事と贈答を伝える菓子として見るのが正確です。
姫路市のゆかり菓子解説で確かめるVISIT DETAILS
大人一人の通常料金と、見学できる時間、休館日、車で訪れる場合の駐車場をまとめました。年齢区分、団体料金、特別公開は公式案内でご確認ください。
確認日 2026.07.31。料金・開城時間・駐車条件は催事や工事により変わる場合があります。
DAY PLAN
CASTLE TOWN ROUTE
大天守を見たあとに好古園へ入ると、守るための城と、迎えるための庭の違いがはっきり分かります。時間に余裕があれば、兵庫県立歴史博物館で城郭建築の背景まで補えます。
所要時間の目安 追加90〜150分

WALKING ORDER
姫路城の大手門から西へ進み、好古園へ
御屋敷の庭、茶の庭、流れの平庭を順に歩く
城郭の構造をさらに知るなら兵庫県立歴史博物館へ
庭園
姫路城を借景にした九つの庭で構成されています。天守の防御設備を見た直後に歩くと、同じ城内でも用途によって空間の表情が変わることを実感できます。
公式情報を見る博物館
姫路城を望む位置にあり、城郭、祭り、地域史を実物資料と模型で学べます。展示内容と開館日は公式サイトで確認してから向かいます。
公式情報を見る所要時間は移動と通常の見学を含む編集部の目安です。開館日、料金、展示内容は各施設の公式サイトでご確認ください。
AROUND THE CASTLE
BOOKS & DOCUMENTS
黒田官兵衛の時代、池田輝政による大改修、昭和の大修理をそれぞれ確かめられる本を紹介します。
本文は各城の公式解説、自治体・文化財情報をもとに編集部が要約しました。伝承は確定事項と分けて記載しています。