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HIKONE / SHIGA

彦根城

天守だけでなく、天秤櫓の左右で異なる石垣、西の丸三重櫓と深い堀切、現存する大規模な馬屋まで残る城です。建物と井伊家の資料をあわせて見ると、徳川政権が西国を治めるうえで彦根城が担った役割まで理解できます。

現在見られる主な建物・遺構
1604年着工・1622年頃城下完成
主な城主
井伊直継・直孝
城の立地と天守の構造
平山城・梯郭式
彦根城天守の破風と石垣
Image: Suicasmo / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

HISTORY

築城から現在まで

関ヶ原合戦後、井伊直政は佐和山城を与えられますが1602年に死去。徳川家康の命により、直継が1604年に彦根山で築城を始めました。直孝の時代、1622年頃までに城下町を含む整備が完成します。

天守は三重三階ながら、切妻破風・入母屋破風・唐破風を重ね、花頭窓と高欄を組み合わせます。大津城天守を移したという伝承はありますが、移築の扱いは史料と建物調査を分けて読む必要があります。

天秤櫓の石垣は、向かって右に築城期の牛蒡積みを含む打込接、左に幕末修理の落し積みが見られます。左右の違いを一度に比較できることが、彦根城を歩く大きな価値です。

CHRONOLOGY

  1. 関ヶ原合戦後、井伊直政が近江へ
  2. 直継が彦根山で築城を開始
  3. 直孝が大坂の陣で井伊勢を率いる
  4. 城下町を含む城郭が完成
  5. 天秤櫓の石垣を修理し積み方が左右で異なる

PEOPLE, OBJECTS & THE CASTLE

井伊の赤備え。朱の軍装を、伝承だけで終わらせない

肖像や武具、城に残る意匠から、城主と城の関わりを時代順に紹介します。

PORTRAIT / HISTORICAL IMAGE彦根城博物館所蔵の井伊直政肖像
彦根城博物館所蔵の井伊直政肖像Image: Unknown / Hikone Castle Museum / Wikimedia Commons / Public domain
ARMOR / MATERIAL井伊直孝所用と伝わる朱塗具足
井伊直孝所用と伝わる朱塗具足Image: Bureizuman / Wikimedia Commons / CC BY 3.0
ON SITE / STRUCTURAL DETAIL彦根城の石垣に見られる石の積み方
彦根城の石垣に見られる石の積み方Image: Japanexperterna.se / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

井伊直政は武田旧臣を含む精鋭を率い、軍装を朱で統一した赤備えで知られます。ただし直政は1602年に死去し、現在の彦根城完成を見ていません。築城を進めた直孝まで含めて、井伊家の軍事と藩政をつなげます。

彦根城博物館には井伊家伝来の甲冑群があります。誰の所用か、関ヶ原で使ったかという伝承と、作品の制作年代・文化財指定は別々に読みます。

朱漆塗仏二枚胴具足

桃山〜江戸時代の滋賀県指定有形文化財です。直政が関ヶ原の戦いで使ったと伝わりますが、文化財指定だけで実際の使用まで証明されたわけではありません。

太刀 国宗(二代)

鎌倉時代の重要文化財。小田原攻めの先陣を果たした家臣へ直政が与えたと伝わります。

朱地井桁紋旗印

直政が関ヶ原で使ったと伝わる軍旗。井桁は軍標で、正式な家紋は丸に橘です。

三つの資料から分かること

01

彦根城は、直政の死後に始まった

井伊直政は1602年に亡くなり、彦根城の築城は1604年に直継のもとで始まりました。城下町の完成まで約20年を要した城は、直政一人の記念碑ではなく、直継・直孝と家臣団が引き継いだ藩づくりの成果です。

02

橘紋と井桁は、井伊家の二つの顔を伝える

井伊家の家紋は丸に橘、戦場の旗印は井桁です。直政像の中啓にある橘と、赤備えの旗に見える井桁を見比べると、儀礼の場と軍勢を率いる場で印がどう使われたかが分かります。

03

赤備えは、伝説だけでなく実物から読める

朱漆塗仏二枚胴具足は桃山時代の作品で、直政が関ヶ原で着用したと伝わります。文化財として残る実物の形と、合戦での所用伝承をともに知ることで、赤備えを単なる勇猛な逸話で終わらせずに見られます。

所蔵館・文化財の公式解説を見る

FORTIFICATION

城を守るために、石垣・堀・門をどう配置したか

三重の堀

内堀・中堀・外堀で城と城下を段階的に囲みました。

天秤櫓

橋を渡る敵を正面と両翼から見下ろす要所です。

西の丸堀切

尾根を深く断ち切り、山続きの侵入を遮断します。

井伊の赤備え

武田旧臣の編成を取り込み、朱塗りの武具で統一した軍制を博物館資料から追えます。

FIELD ROUTE

初めてでも迷いにくい見学順

見どころを見落とさず、入口から出口まで歩きやすい順に紹介します。工事や入場規制がある日は、現地の案内に従ってください。

  1. 01

    表門から現存馬屋へ。軍馬を管理した城の実務を見る

  2. 02

    鐘の丸から廊下橋を渡り、天秤櫓と石垣を左右で比較

  3. 03

    太鼓門を通って天守へ。多彩な破風を近くで見る

  4. 04

    西の丸三重櫓へ進み、堀切の深さを確認

  5. 05

    黒門側へ下り、内堀と山の高低差を見る

  6. 06

    玄宮園と彦根城博物館で、井伊家の武具・文書・能文化を補う

FOOD, TEA & ONSEN

琵琶湖の保存食、鮒ずし

近江の水辺で育った発酵食を、彦根の城下文化とあわせて知ります。

滋賀県の郷土料理、鮒ずし
Image: ウミネコ / Wikimedia Commons / Public domain

地域に受け継がれた味

鮒ずし

琵琶湖のニゴロブナを塩と飯で乳酸発酵させる、近江を代表する保存食です。井伊家の特定人物の好物とは断定せず、湖国の暮らしと保存技術を伝える一品として紹介します。

農林水産省「滋賀県の郷土料理」で確かめる

由来は伝承

赤こんにゃくと信長

赤こんにゃくを織田信長に結びつける説がありますが、農林水産省は裏づける史料がないと説明しています。彦根城主の食事として扱わず、近江に残る由来話の一つとして区別します。

農林水産省「赤こんにゃく煮」で確かめる

VISIT DETAILS

見学料金・開館時間・駐車場

大人一人の通常料金と、見学できる時間、休館日、車で訪れる場合の駐車場をまとめました。年齢区分、団体料金、特別公開は公式案内でご確認ください。

入城・入館料
彦根城・玄宮園は一般800円、小・中学生200円。彦根城博物館とのセット券は一般1,200円、小・中学生350円です。
開城・開館時間
8:30〜17:00、天守最終入場16:30。
休城・休館日
年中無休。保存工事や荒天による変更は公式案内で確認します。
公営・指定駐車場
二の丸駐車場は普通車40台、8:30〜18:00、1日1,000円。京橋口駐車場は最初の1時間400円、以後4時間まで30分100円、4〜24時間は1,000円です。
駐車場から
二の丸駐車場は表門のすぐ前。JR彦根駅から表門までは徒歩約15分です。
訪問前の注意
天守だけでなく天秤櫓、時報鐘、玄宮園まで回るなら2時間半以上を見込みます。

確認日 2026.07.31。料金・開城時間・駐車条件は催事や工事により変わる場合があります。

DAY PLAN

彦根城を巡る時間と費用

滞在
城・博物館・玄宮園で3〜4時間
交通
JR彦根駅から徒歩約15分。城下町を含め徒歩で回りやすい
予算
入城・博物館・昼食で3,500〜7,000円ほど(宿泊を除く編集部目安)

CASTLE TOWN ROUTE

天守を水面に映す、井伊家の庭へ

彦根城の北東にある玄宮園では、天守を景色の一部として眺められます。山上から見下ろした城を、今度は大名庭園から仰ぎ見る順序がおすすめです。

所要時間の目安 追加75〜120分

彦根城天守を望む玄宮園
Image: 663highland / Wikimedia Commons / CC BY 2.5

WALKING ORDER

  1. 01

    天守と西の丸を見学する

  2. 02

    彦根城博物館で井伊家伝来品を見る

  3. 03

    玄宮園を一周し、池越しの天守で締めくくる

大名庭園

玄宮園

四代藩主・井伊直興の時代に整えられたとされる庭園です。池、島、橋、茶室が天守の眺めと結びつき、藩主が過ごした平時の空間を想像できます。

公式情報を見る

博物館

彦根城博物館

表御殿を復元した建物で、井伊家伝来の甲冑、刀剣、茶道具、能装束を展示します。展示替えがあるため、目当ての資料は事前に確認します。

公式情報を見る

所要時間は移動と通常の見学を含む編集部の目安です。開館日、料金、展示内容は各施設の公式サイトでご確認ください。

AROUND THE CASTLE

城下町で食べる・泊まる・持ち帰る

食べる

せんなり亭 伽羅

城下町で近江牛料理を味わえる店です。営業日、予約方法、料金は公式サイトで確認できます。

公式情報を見る

持ち帰る

いと重菓舗

彦根で受け継がれてきた菓子を公式店で選ぶ。

公式情報を見る

学ぶ

彦根城博物館

井伊家伝来の甲冑・刀剣・古文書を城と合わせて見る。

公式情報を見る

BOOKS & DOCUMENTS

彦根城と井伊家の赤備えを知る本

彦根城の築城、天秤櫓の石垣修理、井伊家に伝わる武具を具体的に確認できる本を紹介します。

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主な出典

本文は各城の公式解説、自治体・文化財情報をもとに編集部が要約しました。伝承は確定事項と分けて記載しています。

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