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Interior Essay

空間演出のプロが選ぶ、
家で“非日常”をつくる道具

特別な家具を増やさなくても、部屋の印象は変えられます。効くのは、目に入る光、空気に残る香り、手で触れる布の質感。ここでは「光・香り・手触り」の三つに絞って、家の中に小さな非日常をつくる道具を考えます。

夜の寝室で温かく灯るテーブルランプ

Photo: Rhamely / Unsplash

ホテルやレストランのような「いつもと違う感じ」は、実は大きな装飾よりも、体が先に気づく小さな変化から生まれます。天井の明るさを落とす。玄関や寝室に香りの起点を置く。ソファやベッドまわりに、手で触れたとき気持ちのよい布を一枚足す。そのくらいの変化で、家は少しだけ外の時間から切り離されます。

買う前に見たいのは、華やかさではなく続けやすさです。手入れが面倒なもの、強すぎる香り、洗いにくい布は、最初の数日で使わなくなります。非日常をつくる道具ほど、普段の生活に静かに戻れるものを選ぶほうが失敗しにくいと考えています。

1. 光 — 部屋の輪郭をやわらげる

非日常感を一番早くつくれるのは、照明です。天井照明を強く点けたままでは、部屋全体が均一に明るくなり、生活感もそのまま見えてしまいます。テーブルランプやフロアライトで低い位置に光を置くと、壁や家具に影ができ、空間に奥行きが生まれます。

選ぶなら、光源が直接目に入りにくいシェード付きのランプ。白すぎる光より、電球色に近い温かい色のほうが夜の時間に馴染みます。ただし、読書や作業をする場所では暗すぎると疲れるため、調光できるもの、または補助灯として使える明るさを選ぶのが現実的です。

植物のそばに置かれた木目調のアロマディフューザー

Photo: Jopofa Bolt / Unsplash

2. 香り — 部屋に入った瞬間の印象を決める

香りは、視覚より先に空間の印象を決めます。玄関を開けた瞬間、寝室に入った瞬間、ふと空気が変わるだけで、家の中の時間が少し整います。リードディフューザーや小型のアロマディフューザーは、道具としての主張が強すぎないものを選ぶと、インテリアに馴染みやすくなります。

気をつけたいのは、香りの強さです。来客向けに強い香りを選ぶと、毎日過ごす自分のほうが疲れてしまうことがあります。最初は玄関や洗面所など滞在時間の短い場所から試し、寝室では甘すぎない香り、リビングでは食事の邪魔をしにくい香りを選ぶのが無難です。

ベージュのリネン生地の質感

Photo: Annie Spratt / Unsplash

3. 手触り — 生活感を上質に見せる

最後に効くのが、布の手触りです。クッションカバー、ブランケット、ベッドリネン、テーブルクロス。面積は小さくても、手が触れる場所の質感が変わると、部屋で過ごす感覚が変わります。リネンや綿麻のように少し表情のある素材は、生成りや木目の家具とも相性がよく、派手に飾らなくても空間に深さを出せます。

一方で、天然素材はシワや縮みが出やすいものもあります。きれいに整った状態だけを求めるなら、扱いやすい混紡素材も選択肢です。見た目だけでなく、洗濯頻度、肌に触れる時間、季節をまたいで使えるかまで見ると、買ったあとに残る道具を選びやすくなります。

まず一箇所だけ変える

部屋全体を一度に変えようとすると、道具が増えすぎます。おすすめは、一日の終わりに必ず通る場所を一箇所だけ決めること。ベッド横のランプ、玄関の香り、ソファのクッション。その一箇所にだけ、光・香り・手触りのどれかを足す。小さな変化でも、毎日目に入る場所なら十分に効きます。

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